2023年10月9日(月)、一睡もできなかった。午前5時半に指宿のカプセルホテルを出た。鹿児島市内の平和リース球場で、国体の野球の試合を観戦した。国体の野球競技を見るのは、人生で初めてだった。
第1試合のカードは、北海道の北海と地元・鹿児島の神村学園。小雨が断続的に降るなかでも、大勢の観客が球場に詰めかけた。
試合は、北海が4対1で接戦を制した。神村学園は4番の正林選手のホームランで先制したものの、リードを守り抜くことができなかった。
神村学園の応援が、私のなかでは印象深い。勢いのよさと音色の美しさ、両方を兼ね備えた応援だった。最終回に「やかぜ」という曲が流れた際は、なぜだか非常に感動した。
応援団だけでなく、観客全体の雰囲気も素晴らしかった。地元の神村学園を応援しつつ、相手の学校もしっかり称えていた。北海の校歌が流れた際には手拍子が起こった。
仙台育英が慶応を粉砕
第2試合のカードは、神奈川の慶応と宮城の仙台育英。今年の甲子園決勝と同じ対戦カードだ。
試合は仙台育英が11対0で7回コールド勝ちした。甲子園で打ち込まれた仙台育英・湯田投手が、この国体ではほぼ完璧に慶応打線を抑えた。
印象的だったのは、仙台育英が6点リードして迎えた7回表の場面。同校の橋本選手がセーフティバントを成功させた。「慶応を完膚なきまでに叩き、甲子園の借りを返す」という、仙台育英の思いがうかがえるプレーだった。
慶応は明らかに勝利を度外視していた。私がそう感じたのは、慶応側が、甲子園で出番のなかった3年生たちをマウンドに上げたからだ。勝ちにこだわる仙台育英も素晴らしいが、多くの選手にスポットライトを当てようとする慶応の姿勢も見事だった。