2022年9月6日(火)、夜更かしをした。13時に寝て、23時に目が覚めた。家を出たのは午前7時ごろ。しとしと雨が降るなか、朝の宮之浦を歩いた。白谷川の水流はいつも以上に激しかった。昨日までの強風はおさまり、森の中の鳥たちは元気に鳴いていた。
「国盗り物語」の後編を読み終えた。解説含め、約580ページの長編を読むのは、なかなか大変だった。
後編の主人公は明智光秀と織田信長。2人の関係性はまるで、会社員と上司、もしくは大学生と指導教員のようだ。個人的には、信長よりも光秀の方が心情を理解しやすかった。学生時代にお世話になった先生が、信長のような性格だったからだ。
「坂の上の雲」と同様、国盗り物語でも文章の読みやすさが印象に残った。司馬遼太郎さんの比喩表現に触れると、思わずため息が漏れる。国盗り物語の後編から、一例を記す。
「北近江一帯の支城は歯をぬくように抜き去られ、いまでは奥歯ともいうべき小谷城ひとつで防戦している。」(司馬、1971、p.487)
比喩を畳み掛けている点が好きだ。「歯をぬくように」という比喩が前にあるから、その後の「奥歯ともいうべき」が自然に頭に入ってくる。
自分のような凡人は前半の喩えをすっ飛ばして、いきなり「奥歯ともいうべき」と書いてしまいがちだ。そもそも、城を歯に喩えるという発想にも辿り着けない。