【25日目】20km超のロング散歩

2022年6月4日(土)、午前6時に起床して、1時間半後に自宅を出た。晴れの予報が出ていたため、数日前から、今日は散歩の日にしようと決めていた。島北東部の宮之浦から、北西部の永田という地区まで、20kmを超える道のりを歩いた。

 

道中、一湊(いっそう)という今まで訪れたことがない地区を通った。

 

この地区では、海水浴場の美しさに目を奪われた。コバルトブルーの海、白い砂浜、緑が覆う山、黒々とした巨岩。それぞれの存在感がとても強かった。

一湊の海水浴場
一湊の海水浴場

 

一湊川もとても綺麗だった。川が大きくカーブしている箇所では、外周部と内周部で色がくっきりと別れていた。内周部は流れが遅くて砂が溜まっているのだろうか。正しい理由は分からないが。

一湊川

 

一湊の次に訪れたのが、吉田という地区。海岸の近くや集落の中に鎮座している大きな岩が印象的だった。

一湊と吉田の間の景色。東シナ海が見える
吉田に鎮座していた巨大な岩「祀りの大岩」。近くにあった説明のパネルによると、1550万年前に隆起した屋久島花崗岩らしい
祀りの大岩の近くの景色。カンナの仲間と思しき植物が綺麗だった

 

吉田地区を通過するまでの間、色々な動物に出会った。猛禽類が空を飛び、クモの巣が道をふさいでいた。ネコ、チョウ、カニの死骸も発見した。いずれも車に轢かれたのだろう。

 

吉田の近くでは、4本の足でのっそりと歩く動物を見つけた。100mほど先にいたこの動物は、道路を横切り林の中に消えて行った。

 

当初はネコだろうと思っていたが、歩みを進めるにつれて考えが変わった。道の両脇の林から「キー」という、獣特有の金切り声が聞こえてきたからだ。

 

サルの群れがいるに違いない。そう警戒しながら歩いていると、林の中にいた親子のサルと目が合った。驚いた親子は、茂みの中に身を隠した。驚いているのは私も同じだ。鳴き声が聞こえなくなるまで全速力で走った。

 

島内の西部林道という場所にサルが生息していることは知っていたが、まさか他の地域で出会うとは思っていなかった。強い日差しと、サルに遭遇した動揺。このダブルパンチで、吉田地区を通過した頃には散歩を楽しむ余裕を失っていた。

 

とにかく休憩したい。そう思い、吉田を過ぎた後、最初に見つけたカフェに入った。海が見えるおしゃれなカフェだった。バナナパフェが美味しかった。

バナナパフェ

 

お店を切り盛りしていた女性の優しさが心に染みた。熱中症気味の私を気遣い、濡れたタオルを渡してくれたのだ。本当にありがたかった。

 

女性は、動物にまつわる話を聞かせてくれた。道の上で死んでいたトンビを退けてあげた話や、石の間に挟まっていたウミガメを見つけて助けを呼びにいった話。サルに遭遇したときはボスと目を合わせてはいけない、という助言もいただいた。どれも興味深い話だった。また訪れて話を伺いたい。

 

散歩の目的地である永田地区には、14時に到着した。観光名所の1つである「いなか浜」を訪れた。青空が似合う、とても綺麗な砂浜だった。夕景も美しいらしい。ウミガメが産卵のために上陸することでも有名だ。

いなか浜

 

この地区を訪れた理由は、永田川を見るためだ。宮之浦川や安房川の美しい景色を体感し、島内の他の川も訪れたいと思っていた。

 

永田川沿いの水田が印象に残った。屋久島で田んぼを見たのは初めてだったからだ。集落の一角からは煙がもくもくと立ち、山の裾野では白い鳥たちが舞っている。永田の山並みを背景に、「昭和の日本」のような景色が広がっていた。

永田川にかかる橋から見た景色
永田地区の風景

 

横河渓谷(よっこけいこく)も訪れた。永田川の上流に位置する観光スポットだ。水が激しく下っている岩場や、岩に囲まれて水がたまっている箇所があった。

 

どのような原理なのか分からないが、たまった水はエメラルドグリーンに見える。私が訪れたときには、大人たちが楽しそうに泳いでいた。まるで天然のプールのようだ。

横河渓谷。左奥に見えるのが、”天然のプール”
横河渓谷

 

永田からの帰り道は、17時ごろに出発するバスの最終便を利用した。1000円足らずで宮之浦に戻ることができる。

 

9時間を超える散歩はとても楽しかった。

今日の宮之浦川。午前7時43分に撮影。川の水は驚くほど青色に染まっていた

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